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よだかの星パロディ小説

よだかの星

 

よだかという鳥はご存知でしょうか。

美しいや醜いなどは人それぞれの価値基準でありますが、よだかはよく醜いといわれてしまいます。それはあまりにも広いくちばし、よぼよぼの足からそういわれてしまうようです。しかし、本当に醜いのはよだかなのでしょうか?そんなよだかのお話を一つお聞きくださいませ。

昔ある王国がございました。そこの国王はお体つきの良い、いかにも国王といったようなお方でした。彼はまた美しいものが大好きで、醜いものが大嫌いでありました。そして、その国に生息しているよだかという鳥を見るやいなや、それらを国から追放することを決めたのでした。国王はよだかの長を宮殿へ呼び出しました。「そなたは実に醜い、よって二度と私の目にうつるでない。今晩中にこの国を出て、私をもう不愉快な思いにさせるでない。」「お言葉ですが、我々も生きていかねばなりません、醜いことも承知で大変申し訳なく思っております。どうにか追放は免れませぬでしょうか。」「どうしてもというのなら、奴隷という名前に改名し、国民の言うがままに一生を過ごすといい。」「…」「お前は醜いうえに、身勝手でもあるのか。我々に醜い姿をさらしておいて、謝る気も、奉公する気もないとは。今晩のうちに去れ、二度と帰ってくるでない。」よだかは足をもがれたようなおぼつかなさで宮殿を去った。そして彼らのエサはこの王国付近でしかとれないことを承知のまま、国王に従い国を去った。「醜いというのはそんなに悪い事なのか、そもそも醜いとは何なのだろうか。」あるよだかが言った。「国王のいうことが全てだ。」よだかの長は声にならぬ声で言った。その後宣言通り、よだかを見かける者はいなくなった。国王はよだかが消えたことをたいそう喜び、盛大な祝杯を開いた。優秀な彼の側近が彼を案内した。「国王様、あなた様専用の特大の部屋にご案内します。あなた様お一人で心地よく過ごせましょう。」「苦しゅうない。」「そこにはとても大きな椅子もございます、しかもそれは座り心地がよく、いつものようにたいそうごゆっくりできるものかと思います。」国王は機嫌がよくなり、椅子に寝っ転がるように座り、食事を待った。食事には肉に甘いもの、実に美味なものが多くあった。「食事もまだまだございますうえ、高級なワインも何ボトルもございます。いくらでも、思うがままに、お飲みくださいませ。」「今回はいつにもまして奉仕が素晴らしいな、昇進でも狙っているのか。」国王は笑った。側近は返答しました、「いいえ国王様、“全て”はあなたの醜さゆえでございます。」