ポートフォリオ用ブログ

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短編小説&なめとこ山の熊コメディ小説

~カタハライタシ~

 

私は常に腹が痛い。もはや友人と言っても過言ではない。ただ腹痛の方から、「昨日の食事が原因でやってきました、どうも。」と自己紹介をしてくるわけでもない。要するに、治しようがないのである。そんな中、彼氏とのデートの日がやってきた。一番腹痛の来てはいけない日である、それも乙女のプライドが許さないからだ。ただなんなくデートは始まった。彼氏は来たが、例の友人は来なかったのである。昨日自分にかけたおまじないのおかげであろうか、私は彼に気付かれない様に小さくガッツポーズをした。そして横を見てみると、彼が腹を抱えて苦しそうにしているのである。ああ、いたいのいたいのとんでゆけとは案外やっかいなものであるなぁ。

 

 

 

 

 

~なめとこ山の熊~

 

小十郎はなめこ山に行くことにした。以前行っていた山の熊は狩りつくしてしまったのである。「なめこ山とは何であろうか?なめこにあふれているのか、だとしたらヌルヌルしてのぼりづらいだろうなぁ。」そう思いつつ、山へと向かった。山に着くと、そこの立て札には「なめてこ山」と書いてあった。「な、め、て、こ?騙された!余計な”て”を加えやがって!」するとポトン、何かが頭の上に落ちてきた。なんと、なめこである。「やぁ、よくここをなめこ山と勘違いしちゃうあんぽんたんがいるものだから、がっかりさせないために僕がいるのさ。」彼はそう言った。小十郎はもういっそのこと開き直り言った、「なるほど、お前にここを案内してほしい、何しろ初めてなもんでな。」「いいさ、もともとそのつもりだったしね。」彼らは山を登っていった。道中、何匹かの熊が小十郎たちをじーっと眺めていた。ただ、彼らが俺を好いているのかはわからん、だって熊であるもの。そんなことを思っていると、ゴロゴロ、とても大きな音がした。巨大な岩が山の上から転がり落ちてきたのである。「元体操部部長をなめるでない!」小十郎は綺麗なロンダートを決め、間一髪で岩をよけることに成功した。「なんなんだ、危なすぎるではないか!」そういう小十郎に、「たまたまさ、こういうこともある。」なめこはにやりと笑いながら言い、彼らは再び山登りを始めた。しばらく進むと、「/」このぐらい急な斜面のある場所に出くわした。そこの岩は「待っていました!」というがごとく、小十郎が乗った瞬間崩れ落ちた。こればかりは体操運動ではどうにもできぬ、これまでか…と思った瞬間、何か紐のようなものが落ちてきて、とっさに小十郎はそれにつかまった。上を見上げるとその紐のようなものはなめこから出ていた。「これは僕の食物繊維だよ、僕が人参や大根だったら君は終わってたね。」「命救われたよ、ありがとうな。」そういい彼はなんとか元の場所に戻った。「本当に大丈夫なのかこの山は…。」小十郎はため息をついた。「ふふっ、まぁ自然は全てを知っているのさ。」なめこは遠くを眺めるようにそう言ったが、小十郎にはその意味がよく分からなかった。さて、山ももう終盤だが、熊は最初の数匹以外は見つからない。今日はダメか、そう思った途端、目の前の木が倒れ、巨大な熊が表れた。小十郎は銃をかまえた。なめこは、何の準備なのか体にヌルヌルするクリームを塗りだした。「ほら人間は肌をサラサラにするためにクリームを塗るだろ、僕らはその逆。なめこはヌルヌルが命なのさ。」「説明されてもわからん!」小十郎は撃つ準備をした、「俺は熊狩りも熊を売ることもさんざんやってきた、こんなのは楽勝だ。」しかし、熊は見た目に反して慎重なもので、襲ってくるわけでもない。熊は小十郎にこういった、「もう二年待ってくれないか、俺の子供はまだ自力で生きていけないんだ。」「だがな、俺はお前が憎いわけでもない、これは商売なのだ。仕方がないのだ。お前が熊に生まれた因果なら、俺もこんな商売が因果だ。」なめこが口をはさんだ、「商売なんて言っちゃ悲しいじゃないか、しかも因果ってことは…。」そう言い終える前に小十郎は”条件反射”的に銃を撃ってしまった。せまりくる銃弾!なめこがなんとそこに飛び込んだ!そうして彼はポトリと倒れこんだ。「すまないなめこ!死なないでくれ頼む!!」「命は皆平等だよ、その気持ちはあの熊さんに残してやることだね...。」「そうだったすまねぇ、すまねぇ…お前の命が惜しくて熊の命が惜しくないなんておかしいことだ。俺は自分をだましていたのかもしれない、もう熊は狩らない!」その言葉を聞き、なめこはパッと起き上がった。「な~んてね!!」「なめこ、お前平気なのか?」「ヌルヌルで銃弾は跳ね返したよ、だからなめこはヌルヌルが命だと言ったろう?」なめこは熊にウィンクをすると、熊は足早に消え去っていった。「小十郎、憎くて熊を狩っているわけじゃないと言ったが、熊は君を憎むかもしれないだろう?」「そうだな、人間様がすべてじゃないものな、すまなかった。」「そう、しかも憎しみっていうのは跳ね返ってくるものなのさ、だからそうなってしまう前に、君が一歩引くっていうのが大事なんじゃないかな。そういったことから幸せの芽っていうのは生まれてくるものさ。」なめこは手から何かを出した、「そうだ芽と言えばこれ、なめとこの種、なめとこの実っていうおいしいのができるよ。あとこれ。」ズドン、どこからともなく鍬が降ってきた。「今度から熊を狩るんじゃなくて、畑仕事でもしてみたらどうさ。」「わかった、誓うさ、お前には感謝してもしきれねぇ。」彼らはまた歩き出し、しばらくすると、もう山の出口であった。なめこは言った、「なめとこの実もいいんだけど、なめこもどうだい?」「冗談言うな。」二人は山に響き渡るほどの大声で笑い合った。「しかしこのなめてこ山ってのは、」「いや小十郎、なめとこだよ、な、め、と、こ!“と”を雑に書くとよく”て”に見えるけど、あれは”と”!」顔を真っ赤にして小十郎は足早も足早に下山した。